Dir En Greyのニューアルバム【The Insulated World】は、まるでDIR EN GREY に対するファンの希望を詰め込んだような最高なアルバムでした。

DIR EN GREY - 10th ALBUM『The Insulated World』全曲10秒試聴(公式)

リリース前にDrのShinyaがインタビューで、「メタル要素を排除するようにした。」と応えていたので前作【ARCHE】の延長線と想像しましたが実際はまるで違う。

しっかりDirのヘビィさもあるしグルーヴにノリもあってDir最大の魅力である「内に籠もる苦しみ」の表現が最もストレートに伝わって、ヤバい。

今までのメタル化してからのアルバムが徹底的に内なる苦しみを、ヘヴィネスとデスメタルの交錯と世界観、世界中どこにも存在しないサウンドで表現しつづけるDIR EN GREY 。

3年9ヶ月ぶりの10作目となる「隔離された世界」という意味の【The Insulated World】ではファンに応えるようなサウンドが集約されていました。

【The Insulated World】私的全曲レビュー

01. 軽蔑と始まり

Dirの中でも屈指の名盤【Withering to Death.】の「C」での始まりを彷彿させるようなシンプルなブレイクとリフで展開する軽快ながら、ドスッとくるベース&ドラムが進化したDirを感じさせてくれます。

最近の京のダークな歌詞と強烈なパフォーマンスが詰まっていて、その後の楽曲全てを繋ぐような圧倒的にパワフルな曲です。

02. Devote My Life

Dr.Toshiyaの作曲で「私の命を捧ぐ」というタイトルで、編み込むようなフレーズのベースラインにアクセント的なギターに京の歌詞が深く掘り下げるような曲。

シングルカット候補として上がったほど(シングルは「人間を被る」になった)の、最近のDirの傾向を激しさで表したような楽曲です。

03. 人間を被る

 

ブレイクとアクセントで展開して、サビのメロディアスと歌詞の深さに入り込んでしまうアルバムの先行シングルとしてコンセプトまで全て表現しきっているような曲です。

作曲は薫で、激しくなる展開といいストレートにノれるフレーズもあり、シングルとしても秀逸でしたがアルバムに収まると、なお存在感が増しているように感じます。

04. Celebrate Empty Howls

とことん内面へと向かわせてくれるアルバムの楽曲の中で、ダークな展開をストレートなビートとパーカッションのブレイクを置いた緩急がたまらない楽曲です。

階段のように流れるブレイクダウンからのアップテンポなど、とらえようのない唯一無二といえるDirの表現力と京の歌唱力が詰まっています。

05. 詩踏み


MVはシングルVer.

近年のシングルで珍しいほどストレートに激しさを表現している楽曲で、アルバムはボーカルラインなどのリミックスが施されています。

ヘビィな展開からDir流ブレイクダウンで京の深みを感じられて、ラストへ向かう圧巻の展開はシングルとはまた違う魅力です。

06. Rubbish Heap

タイトルは直訳で「掃き溜め」、ドナリとストレートな展開で軽快な印象で楽しめる曲調に、京の考えさせられる歌詞が強烈に感じる曲です。

割と短めな曲ですが、Dirの魅力が詰まりまくっています。この曲コピーしたら楽しそうですね~。

07. 赫

Die作曲でミドルバラード的な展開で始まる前作までの楽曲ですが、このアルバムでさらに深みと魅力を感じさせる強い意志が心震わせてくれる曲となっています。

この曲を挟むことで、過去のアルバムと現在が繋がるという傑作アルバムの中の秀逸な役割となる楽曲です。

08. Values of Madness

直訳すると「狂気の価値」というタイトルでToshiyaの作曲で、ドラマーらしくリズムが目まぐるしく展開しながら京の幅広いボーカルが楽しめる曲です。

初期Dirまで彷彿させる軽快なフレーズもありながら、しっかり重さとディープな展開となるアルバムの中でもきっとお気に入りに入れたくなります。

09. Downfall

アルバム内でも屈指の激しさで、Dir的に直訳すると急激に「没落、落下、堕ちる」といった意味合いでしょうか。

薫の作曲で、直撃ストレートなサウンドに京のホイッスルボイスやあらゆる声域を駆使している世界中でもDirにしかできないパワフルさに満ち溢れている曲です。

10. Followers

作曲は薫、タイトルは「信者」、現在を表現するなら「フォロワー」といった意味合いでしょうか。

何かにすがるといったイメージが湧きますが、歌詞は「あなた自身を認めて表現すればそこが一つの世界」そして気付かせてくれた貴方という〆になっている包み込まれるような優しさにあふれている楽曲です。

11. 谿壑の欲

タイトルの意味は「尽きない欲望」で、薫の作曲らしく深くディープに飲み込んでの急激な展開に圧倒される曲です。

世界的に成功のきっかけとなったKORNのジョナサンが好みそうな狂気を、サウンドと歌詞で最大級に表現しているラストへ向かう流れでの最高のアクセントとなっています。

12. 絶縁体

Dirの魅力のひとつである"タメ"のフレーズを、巧みなリズムを変えて聴かせてくれて、後半では一気に畳み込むような激しさというたまらない曲です。

このアルバムのコンセプトに沿った内面への追求、苦しさ、痛みの表現をDirのミドルとバラード、そしてハードでヘヴィな展開を聴かせることによりラスト曲が最高に引き立っています。

13. Ranunculus



タイトルは金鳳花(きんぽうげ)という花の意味で、完成した楽曲にあとからつけられました。

薫の作曲でリードトラックとしてMVが先行発表されました。そのタイトル通り美しく、意味深く、この曲でアルバムを〆ることで、この曲とアルバム全ての楽曲が格段の深みとなっています。

どこまでも深く、そして優しさもある新たなDirを期待させてくれるような素晴らしい曲です。

アルバム【The Insulated World】を聴き終えて

ベストに収録される過去の収録曲は 『JESSICA』のような救われるようなメロディアスさ、苦しさを表現しながらもポップでロックな『Cage』、そしてDirだけでなく邦ロックの名曲に入るレベルだけどDirらしい歌詞の毒々しさが最高な『C』など、V系のライト気味な曲。

ファンも最近のDirを理解して感動しつつも、その時期の楽曲を愛しているという矛盾的な循環だった。そんな中でアルバム【DUM SPIRO SPERO】に収録された『羅刹国』の再録Verは感動したし、過去と現在をつなぐ楽曲と感じていました。

ライブで盛り上がれるための曲という『羅刹国』の新バージョンに、私のように歓喜したファンは少なくないでしょう。

そしてこれまで合間にリリースされたベスト盤とオリジナルアルバムを、まるで紡ぐような名作となった【The Insulated World】はこれからのDirにも期待させてくれる従来のファンと、世界中の新たなファンの獲得も予想できるほどの出来でした。

10th ALBUM【The Insulated World】


初回生産限定版は新録1曲とLIVE2曲収録のDisc2がついてます。
01. 鬼眼
02. 腐海 (LIVE)
LIVE@新木場 STUDIO COAST(2018)
03. Beautiful Dirt (LIVE)
LIVE@新木場 STUDIO COAST(2018)

完全生産限定盤はアルバムDisc1+6曲収録のDisc2にDVDorBlu-layの豪華盤です。
DISC 2
01. 鬼眼
02. THE DEEPER VILENESS
03. 理由
LIVE@新木場STUDIO COAST2018年6月30日
04. 腐海 /LIVE
05. Ash
06. Beautiful Dirt/LIVE

DISC 3 : Blu-ray or DVD
MV
 Ranunculus (Promotion Edit Ver.)

・LIVE FOOTAGE TOUR18 真世界 2018.4.28 @仙台銀行ホール
 01. DIFFERENT SENSE
 02. 鴉
 03. DISABLED COMPLEXES
 04. 霧と繭  TOUR18 真世界 2018.6.30 @新木場STUDIO COAST
 01. VINUSHKA
 02. audience KILLER LOOP
 03. REPETITION OF HATRED
 04. Behind a vacant image

・BEHIND THE SCENES OF The Insulated World
Dir en grey Official